ヘルは、目の前で居丈高(いたけだか)に顎をそらす神々の王を見つめた。

 自分の願いは叶えられるべきだ、と考えている相手ほど扱いづらいものはない。ヘルは感情を表に出さずに、淡々とオーディンの申し出を拒絶した。

「特例は認められない。『どんな死者にも公平に』、というのが先代の教えです」

「なぜだ、バルドルは――」

 言いつのろうとするオーディンの言葉をヘルは右手を挙げて遮った。何を言いたかったのかなど、聞くまでもなくわかっている。おおかた自慢の息子がどれだけ優秀かとか、人格者かとか、皆にどれだけ慕われているかとか、その死がどれほど惜しまれているかとか、精々そんなところだろう。

「特例を認めれば収拾がつかなくなります」

「バルドルは、わしの、アスガルドの支配者たるオーディンの息子なのだぞ!」

「残念ながら、ここはニブルヘイムです。あなたの支配するアスガルドではありません。アスガルドにはアスガルドの規律があるように、ニブルヘイムにはニブルヘイムの掟があるのです」

「わしは世界を創造した万物の父(アスファズル)だぞ!」

 ヘルは呆れたように頭を左右に振った。

「特別な存在なら復活させても良いと言いたいのならば、ユミルをも復活させましょうか?」

「ユミルの復活など誰も望まん!」

 傲慢を絵に描いたような答えに溜め息も出ない。オーディンが万物の父だというのならユミルは巨人族の始祖にして、世界の根源だ。オーディンらにユミルを殺された巨人族が未だに神々と対立しているように、今でもユミルの復活を願う巨人族は数多い。

「事実として、巨人族の中には彼の復活を願う者がいます。その者達に、ユミルとバルドルの違いを私はどう説明すればよいのでしょうか? なぜ、バルドルの復活が許されて、ユミルの復活は許されないのですか?」

 それを説明できない以上、ユミルだけではなく全ての死者に対して復活を認めなければ、とても公平とは言えまい。

「数人が望んだ程度で死者の復活を許すわけにはいきません」

「ならば、全てだ」

「なんですって?」

「世界中のあらゆるものがバルドルの復活を望めば、その理屈に説明が付くだろう」

「そんなことができるとお思いですか」

 返事の代わりにオーディンは力強く頷いた。しかし、ヘルにしてみればそれは問いかけではなかった。単なる感想が反語として口をついて出たに過ぎない。

 ヘルは唇に薄く笑みをひいた。

「いいでしょう。本当に世界中の何もかも全てが、バルドルの死を悲しんで涙を流し、その復活を願うのならば、彼を地上に帰しましょう。ただし、誰か一人でも泣くのを拒むのなら死者は掟どおり、ニブルヘイムに留まらせます」

 ヘルの出した条件を、オーディンは呑んだ。おそらくはバルドルの死は何かの間違いだと思うあまり、視野狭窄に陥っていたのだろう。彼が殺されたのだということを、この時のオーディンは、ついぞ意識に上らせなかったのだから。

 

 ザクザクと、積もったまま少し固くなった雪を踏む音がする。ホーネルンの城壁北部、その直ぐ外側の平地だった。平地といっても猫の額ほどの広さしかなく、いつも城の影になって日中でも滅多に日光の当たらないような場所だ。耕作する者もなく、足跡ひとつない雪原が残されていた。

 トルキルは城壁に寄りかかって腕を組み、睨みつけるようにして黒髪の若い男の行動を見張っていた。男の手にした長い杖が白い雪の上に二重円を描き、その間に色々の複雑な直線が引かれていく。円の中心には、土混じりの黒い雪が厚く盛り上がっていた。トルキルには、一度掘り返してから何かを埋めた跡のように見えた。

 魔法陣というやつなのだろう。それがどんな効果を狙って書かれたものなのか、トルキルにはさっぱりわからなかった。

「俺なんかより狼を見張っていた方がいいんじゃないか?」

「狼なんかよりも、お前のほうがよほど怪しい」

 作業の手を止めずに問いかけてくる男に、トルキルは不機嫌な顔で応えた。よっぽど作業の邪魔をしてやりたかったが、彼のすることに手を出さない、と王に約束させられていた。そのゴルモ王は、昼過ぎに突如現れた喋る狼と連れの三人を城の広間で歓待している。

「あんた、疑り深いなぁ」

 けらけらと笑う男をトルキルは睨みつけた。あんな危険極まりない怪物を城に入れて、さらには匿うことになったのは、この男のせいなのだ。

 トルキルの棘のある態度などどこ吹く風で、男は雪の上に線を描く手を止めずに言った。

「……いいことだよ。疑えるってことは、自分の頭で考えられているってことだからな」

 トルキルは不満気に鼻をならした。

「この国はおかしい。誰も彼もが、疑うことなくお前の言うことを信じている。いや、疑わしいとさえ思ったことがないようだ。一体、どんな妖術を使っている」

 この質問は男の意表を突いたらしかった。彼は一瞬動きを止め、次いで腹を抱えて笑い始めた。

「妖術か。妖術ねぇ。……そう来たか」

 一頻(ひとしき)り笑って満足したのか、男は何度も深呼吸してからゆっくりとトルキルへ顔を向けた。

「あえて答えを探すなら、それは時間ってことになるだろうな」

「時間?」

 トルキルは訝しげに眉を寄せた。たしか、ゴルモ王も似たようなことを言っていた。「ロプトとの付き合いは、父祖たちがこの地にやってくるよりも前からかもしれぬ」と。

「お前、何者なんだ」

「何者なんだ、か。むしろ俺が聞きたいくらいだね」

 軽い調子で肩をすくめて、男は足元の魔法陣を描く作業に戻った。

「ふざけているのか?」

「俺は大真面目さ。あんたは自分が何者なのか、他人に説明できるのか?」

「名はトルキルという。相談役兼近衛として陛下に招かれ、お仕えしている」

「名前と立場か。悪くない選択だ」

 魔法陣は書き終わったのか、男は再び顔を上げてトルキルと向き合った。

「名は、……そうだな、色々と呼ばれている。大きく広がる者(ロプト)閉ざす者(ロキ)誘惑する者(ローズル)。アスガルドで神をやっている。これでいいか?」

「からかっているのか」

「言っただろ、俺は大真面目だよ」

 首を傾げて、男は杖を地面に突き刺した。サク、と軽い音がする。描かれた魔法陣が青く淡い光を発して溶けていく。魔法陣のあった場所の雪が溶けて、ぽっかりと丸く緑が顔をのぞかせた。まるでお伽話に聞く妖精の輪のようだ。

 男は満足気な笑みを浮かべて杖を引き抜いた。どうやら作業は終わったらしい。

「失敗か? 何も起こらないぞ」

 相変わらずのしかめ面でトルキルが問うと、男は曖昧に笑った。

「最期の仕上げには、まだ少し早いからな」

 そのまま空を見上げて眩しそうに目を細める。

「なぁ、トルキル。あんたは、世界の始まりには何があって欲しい?」

「そんなことを訊いてどうするつもりだ」

「少しでも参考になれば、と思って」

「参考? 何のだ?」

「世界の終わらせ方の」

 トルキルは言葉に詰まった。話のスケールが壮大過ぎて脳が理解を拒む。冗談のつもりなのか、担がれているのか。意味がわからない。

「ロキ!」

 背後から上がった声にトルキルは振り返った。喋る狼と一緒に現れた女の一人が、金髪をなびかせて走ってくる。彼女は王や王子たちを一番驚かせていた。たしかシギュンといったか。

 駆け寄ってきた女に男が問いかける。

「もういいのか? 見納めになるかもしれないんだぞ」

「いいの。確かにここは懐かしいけど、私が住んでいた頃とは変わってるし、目に焼き付けておきたいって訳でもないから」

「そうか。こっちも終わった」

 トルキルに気づいたシギュンが笑って小さく手を振った。男の影に隠れるようにして、その姿が掻き消える。振り向いた男と目が合う。

「じゃあな」

「あ、おい!」

 トルキルは思わず右手を伸ばした。引き止めなくては。このままでは見捨てられる、いや、もうすでに見捨てられたのかもしれない。

 この男は、彼に全幅の信頼を寄せるゴルモ王を始めとするこの国の民を捨てていくつもりなのではないか。トルキルなど存在すら与り知らぬ全く新しいところで、それどころかミッドガルドの誰も夢見たことさえないこの世界の外側で、一から別の世界を創ってやり直すつもりなのではないか。

 その引き金を引いたのは、先ほどの質問にうまく答えられなかった自分かもしれない。

 男が音を立てて外套を羽織る。トルキルの伸ばした右手が空を切った。もはや男の姿はどこにもなく、視線の先に一羽の鷹が舞い上がっていくのが見えるだけだった。

 

 すっかり葉の落ちたユグドラシルの枝の先から、夜露が雫となって滴り落ちていく。日毎に寒さを増していた気温は下げ止まり、上昇の気配を見せている。

 ヒミンビョルグのテラスでヘイムダルは欄干に手をついて外へと身を乗り出した。石の手摺は切るような冷たさだったが、同時に夜露を含んでしっとりもしていた。目を閉じて、耳をそばだてれば、冬の溶ける微かな音が聞こえてくる。

 積もった雪が、しゅわしゅわと崩れていく音。夜露が滴り、地面に跳ねる音。雪解け水がせせらぎとなって流れていく音。

 世界の秘やかなすすり泣き。

 そして、あちらこちらから聞こえる、涙を強要するヴァルキューレたちの声。それは、ヘイムダルには冬が広がっていった時と何一つ変わらない光景に思えた。

 同じ轍を踏む以上は、同じ結果にならざるを得ないだろう。さらにその先に待ち構える予言が脳裏をよぎる。

『古きギャラルホルンで、運命の幕は切って落とされる。ヘイムダルは角笛を高々と掲げて吹く。

 そびえ立つユグドラシルは恐怖に震え、老樹はうめく。(とりこ)は自由を手に入れる。ヘルの道筋にある者はことごとく恐れおののき、やがてスルトの身内は老樹を呑み込む。』

 ため息をついたヘイムダルは瞼を開いて、ゆっくりと遠く周囲を眺め渡した。

 

 夜明け前のまだ日が差し込まない暗い盆地を幾つもの風が歌いさざめきながら吹き抜けていく。

『泣いて』

『どうか泣いて下さい』

『可哀想な彼に涙の贈り物を』

 風が揺するたびに死んだ枯れ草がカサカサと乾いた音を立てる。寂しいだけの耳障りな返答に機嫌を損ねた風が足早に通り過ぎていく。もっと遠くへ行けば、きっとまとも返事をくれる草木がまだ残っているに違いない。

 去っていった先触れの風の思いなど露知らず、地上に降り立った戦乙女(ヴァルキユーレ)は使命を胸に周囲を見回した。

 足元の茶色い草花の上や、すっかり葉の落ちた木々の枝先、石に付いた朝露が暁の光に輝き始める。きらめく水晶の欠片を散りばめたような光景に、彼女は顔をほころばせた。

 ――この調子で行けば、オーディン様の仰るように世界中のものがバルドル様のために涙を流すのは難しくないだろう。

 自らの他には呼吸をするものさえないような静寂の中を、物悲しい竪琴の旋律が流れてくる。その音に誘われるようにしてヴァルキューレは首を巡らせた。山間の盆地にひっそりと小さな城下町が横たわっている。楽師だけが眠らずに目覚めているのだろうか。

 太陽が顔をのぞかせたとは言え、朝が夜を完全に討ち払うまでには、もうしばらく時間がかかる。逡巡の後、彼女はホーネルンの城下町へと足を向けた。

 元々は日が登り切ってから訪れるつもりだった。けれども、起きている人がいるのなら伝言を頼んでしまおう。そうすれば、その分だけより早く、より遠方まで知らせを伝えることができる。

 喜び勇んで歩みを進めていたヴァルキューレは城門前で足を止めた。ポロン、と半端な一音を残して竪琴の音が途切れる。楽師は探すまでもなく、城門の前に座っていた。外套のフードを目深に被った楽師の迫力に彼女は知らず息を呑んだ。楽師は、まるで知らせを持った使者が来るのを待ち構えていたかのようだった。

「こんばんは」

 穏やかそうな若い男の声だった。

「風が孤独に泣いている。悲しい夜ですね」

「あなたにも泣いて欲しいのです」

 ヴァルキューレの言葉に楽師は一変して声に警戒心を滲ませた。

「……なぜ、でしょうか」

「アスガルドで暮らしていた心優しきバルドル様が、何の罪科もなく殺されてしまったのです。直ぐにオーディン様が愛する息子のためにヘルに掛け合いに行かれました。その結果ヘルは、『世界中のあらゆるものがバルドル様のために涙を流すなら、彼をニブルヘイムから開放する』と、約束したのです。ですから、バルドル様がアスガルドに戻られるように、あなたにも涙を流して欲しいのです」

 風が、草木の遺骸を撫でる微かな音を響かせながら通り抜けていく。ヴァルキューレは、じっと楽師の返事を待った。楽師が応えるまでに、やや間があいた。

「なぜでしょうか」

 先ほどと全く同じ言葉を繰り返され、ヴァルキューレは目を瞬いた。

「えっ……」

 楽師は一つひとつの言葉を目立たせるように、はっきりと口を開いて同じ問いを繰り返した。

「なぜ、僕が泣かなければならないのでしょうか」

「ですから――」

「バルドルが僕に何をしてくれましたか? 何の義理があって、僕は彼のために泣くべきなのでしょうか」

「それは……」

 ヴァルキューレは言葉に詰まった。楽師はしばらく彼女の返事を待っていたが、やがて再び竪琴を爪弾き始めた。中断された曲の続きなのだろう、物悲しい旋律だった。

「これは弔いの曲。死者へのはなむけです。僕は、この乾いた涙でバルドルの死を悼みましょう」

 それは非常に哀切のこもった音色だった。聞いているだけで涙がこみ上げてきそうになる、胸を掻き毟りたくなるような思いに満ちていた。これほどの音を奏でる人が何故、と思わずにはいられなかった。

 主人から与えられた使命もあって立ち去りがたく、ヴァルキューレは長いこと楽師の演奏に耳を傾けていた。それでも、説得できそうな言葉は全く浮かんでこなかった。曲を続けながら、楽師が再び口を開いた。

「ヘルに伝えるように言って下さい。手に入れたものを自ら手放すことはない、と」

 隙のないきっぱりとした口調だった。紛れもない拒絶の言葉だ。

 いくら考えても応える言葉を見つけられない。長いこと黙り込んでしまったヴァルキューレは、しばらくして何も言えないまま一礼して踵を返した。

 このままアスガルドに帰れば、きっと酷い叱責を受けるに違いない。しかし、認めないわけにはいかなかった。どうやっても自分には彼の決意を変えることはできないのだ、と。おそらくはオーディンやフリッグでさえも、彼を翻意させることはできないだろう。

 楽師の奏でる弔いの曲が、霧雨のように胸に染み入ってくる。底の見えない悲しみが、旋律の中に現れていた。これほどの痛みを感じている人に、どうして軽々しく「泣いて下さい」と、頼めるだろうか。

 

 ヴァルキューレの報告を聞いたオーディンは憤然と立ち上がった。不測の事態に考えが上手くまとまらない。とにかく何かしなければ、という思いだけが体のあちこちで空回りする。

「とにかく、もう一度ニブルヘイムに出向いて――」

「ご足労には及びません」

 突然響いた硬質な声にオーディンは顔を上げた。広間の入口に長い前髪で顔の左半分を隠した女が立っていた。

「ヘル……」

 名を呼ばれた女は嫣然と微笑んだ。その姿を目にしたオーディンの唇が心なしか震える。怒りからか、それとも漠然とした恐怖によるものなのか。本人にさえ判断はつかなかった。

「何故、……ここにいる」

「ニブルヘイムは死者の国。生者にそう易々と訪ねられては困ります。それに、久々に地上の空気を吸いたくなったものですから」

 ヘルは顎を逸らして襟元に指をかけ、何もない首筋を晒して見せた。異変に気づいたオーディンが息を呑む。

「いつからだ」

 ヘルは微かに首を傾げた。

「さあ? ちょうど、あなたの息子がニブルヘイムに来る少し前だったかと」

 オーディンは歯噛みした。悪いことばかりが連鎖して起こっている。

 不意にヘルが表情から笑みを消し、有無を言わさぬ硬い声で言った。

「オーディン、約束は覚えていますね」

 オーディンは何も言えずに唇を噛んだ。下手に答えて言質を取られるわけにはいかなかった。

 頑ななオーディンの様子に、ヘルはため息をついて踵を返した。何も言わずに立ち去ろうとするヘルを、オーディンが慌てて呼び止める。

「バルドルが還らないなら、ホズはどうなる? このまま犯罪者にするつもりか?」

 ヘルがぴたりと足を止めた。出口を向いたまま、振り返ることなく答える。

「彼は生者。私が口を出すいわれはありません」

「バルドルが生き返りさえすれば、全て上手くいんだ。ホズの罪は許される。息子は二人とも帰ってくる。ニブルヘイムの高座は永遠に主を失い、ラグナロクが来ることもない」

 ヘルはゆっくりとオーディンを振り返った。目には不思議そうな光を湛えていた。

「このままラグナロクが始まればどうなる? 世界の滅びに対してお前はどう責任を取るつもりなんだ」

 ヘルは首を左右に振った。

「仰る意味がわかりません。私は自分に与えられた責務を果たしただけ。世界など、元から私の手に負えるものではありません。あなたもご自分の領分をわきまえるべきですよ」

「だが、バルドルさえ……、バルドルさえ戻れば……!」

「あなたは自ら課した課題を果たせなかった。死者は帰らない。今更、いくら言っても詮無いことです」

「ならば、他にどうしろというのだ。バルドルが殺されたというのに、ホズがあんなことになったというのに、世界が終わるというのに、お前は手をこまねいて待つだけのつもりか。わしは――」

 それ以上は言葉にならなかった。オーディンは何か言おうと口を開いたものの、言いあぐねいて、結局、何も言えないまま口を閉じた。

「それこそ私には関係のないことです。ラグナロクの後にも、ニブルヘイムは変わらず存在するのですから」

 ヘルはそう言うと、瞼を閉じて詩を詠唱してみせた。あまりにも有名な『巫女の予言』。偉大なる神々の運命(ラグナロク)を詠った一番最後の一節だ。

「『地下(ニブルヘイム)の暗き山脈(やまなみ)から黒い飛龍、閃光を放つ蛇ニーズヘグが舞い上がり、翼に死者を乗せて野の上を飛ぶ。しかし、やがてはそれも沈むだろう』。私は自分にできること、やるべきことをやるだけです」

 ヘルは淡々とした口調で言い切ると、言葉を失っているオーディンを横目に踵を返した。

「では」

 残されたオーディンは解決の一手も思い浮かばないまま、ただただ呆然とするばかりだった。

戻る inserted by FC2 system