さすがにトップページに「これはひどい」だけではひどいと思ったので、個人的銀幕感想


 銀幕ヘタリア見てきました。6月7日(月曜日)、サンシャイン池袋13時からの回。席は満席に近く、平日なのに何故かリア中がたくさんいる中で恥を忍んで見てきました。マジで恥ずかしかった。オタ友欲しい……。

 一言で言うと酷いできでした。事前に某巨大掲示板で情報収集をし、酷いできであること、期待してはいけないことを認識し、Meingottのおまけ程度の感覚で見に行ったんですが、やっぱり酷いできでした。

 見てきた当日から翌日の朝まで怒りが収まらず(はらわたが煮えくり返るような激しいものではなく、失望と絶望と残念さと切なさが交じり合った様な気分でした)、仕事である程度の気分転換には成功しましたが、やはり腹に据えかね、3日たった現在、やっと冷静に笑い飛ばせる感じです。映画を見てこんなに感情を引き摺ったことは初めてでした。そういう意味ではすごい映画だった。

 以下映画論評。観賞している事が前提の為、見ていない人にはわからないかも。レビューではないです。




 まぁ、何が酷いって構成と脚本が酷い。これに尽きると思う。

 例えばハリウッド映画だと10分20分ごとに物語を展開する事件が必ずあり、観客を飽きさせないように話を作る。しかし、あえてそのタイミングで関係のない過去配信話を挿入し、観客の集中力をぶつ切りにする-100点付けたくなる構成。これが、確実に映画の質を下げている。特に何の前触れも無く、時間軸もバラバラに過去の話が入るため、頭の切り替えが必要となり、観客の混乱をまねき、理解度、物語のテンポを悪くしている。

 次に脚本。最初から終わりまで、あらすじとしては筋が通ってはいるが、物語の解決方法が強引かつ唐突すぎ、映画を最後まで見ても何故それで事件が解決したのかわからない。これは脚本というか、物語として致命的。

 これはひとえに脚本家の説明不足による。テーマや題材、解決方法は個人的には悪くない(と言うか、むしろ上手く料理してくれればかなり好感持てる類だった)だけに非常に残念。

 これは本当に脚本家の説明不足(大事なことなので二回ry)。今回、のっぺらぼうのピクト星人にイタリアが顔の落書きをすることで、"個性の肯定"をして事件を解決しているが、どうやらこれはのっぺらぼう(妖怪)を退治するには顔を書くという民話が元ネタらしい。

 その発想自体は悪くないが、そこにいたるまでの流れが本編中に全く出てこない。唯一の流れは冒頭の会議でピクト星人の写真に落書きするイタリアだが、本当にそこだけで他には一切説明されていない。そのため、何故イタリアが最後ピクト星人に落書きしたのか、落書きされたことでピクト星人が和解に動いたのかが全く解からない。

 要するにイタリアがピクト星人の写真に落書き→のっぺらぼうの退治法の説明又は落書きされた写真を見てピクト星人が怯むなど、"顔を書く"ことがキーワードになるという説明の流れが欲しかった。

 ここの流れをきちんと作中で説明してくれていれば(それはどんなに先の展開が読めるような稚拙なものでもないよりはマシ)、映画もここまで酷評されることも無かったんじゃないかと思う。少なくとも自分はこんな酷評はしなかっただろう。所詮ヘタリアはギャグだし、バカバカしい解決方法でも全然構わない。作中で説明が行われてさえいれば。

 映画の酷い点は基本的に上記2点。後は個人の感覚にもよって変わってくるような些細な点になる。


 個人的には後半シリアスに進むにつれて脚本の説明不足に只でさえイライラして見るのが結構苦痛だったんだが、中でもドイツの扱われ方は酷かったんじゃないかと思う。後半ドイツはピクト星人がイタリアの笑顔に弱いのでは?とあたりをつけ、クライマックスのシーンでイタリアに対して「お前だけは笑っていろ!」と絶叫するんだが、これがイタリアの笑顔とピクト星人は何の関係も無いというオチ。あんなに必死に絶叫させておいて何の関係も無いとは、これ如何に……。正直、脚本家はドイツを馬鹿にしているのかと怒りを覚えた。大体、本筋に全く関係ない要素入れる暇があるなら本筋の説明をしろ、と。

 物語後半に出てくる中立兄妹もいらなかったと思う。テンポが悪くなる原因の一つだし、本筋に全く絡まない二人に時間を割くよりも本筋の説明に時間を使ってくれ。この二人は最初の一回目の登場のみで充分だっただろう。第一、同じネタを何度も見せられても笑えない。後半にこの二人が出てくるのが苦痛だった。

 中盤、袋小路に追い詰められた時に日本が突然接待を提案してくるのもおかしい。あそこで日本に接待の提案をさせたかったらもっと追い詰められた雰囲気、かつ誰かに「日本、お前がなんとかしろ」などと無茶振りさせ焦らせる必要があるんじゃないかと思う。まぁ、これは完全にキャラ解釈の違いなので言ってもしょうがない。

 あと、EDの音頭。これは音楽班の仕事なので比較的評判がいいが、なぜ音頭なんだと思う。企画出した奴誰か知らないが、物語にも無理やり捻じ込む形になって評判悪いし、今時音頭って何を思って音頭の企画出したんだ。懐かしアニメが思い出されて恥ずかしいからやめてくれ。 って、これは本当に個人の好みの問題。

 個人的には映画の前半部分、宇宙船に潜入するまではすごく楽しく見られたし好きなんだが、 それを奪い去って余りある後半の展開に、可愛さあまって憎さ百倍の理論で映画が余計気に喰わない。ついでに言うと、プロイセンの登場シーンには何の不満も無く個人的には満点だったため、それを素直に喜べない映画のクソさがよけい憎いw。DVDは絶対買わないだろう。

 ということで特別企画映画なんて別に好きじゃねーよスペシャルはこれにてオシマイです。見に行く人はレビューその他、前評判しっかりチェックしてテンションガタ落ちの状態で見に行くと意外と楽しめるかもしれません。楽しかったって人も結構いるので、あまり悲観的になる必要もないですよ。個人的には宇宙船で袋小路に追い詰められたところで席を立ち、後半は見ないのがオヌヌメの観賞方法です。




2010/06/10
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